医薬品卸の営業(MS)歴10年以上の現役社員が、この仕事のリアルをお伝えします。
医薬品の営業と聞くとメーカーのMRを想像する方も多いですが、私たちは医療用医薬品の卸売業です。メーカーから医薬品を仕入れて、薬局・クリニック・病院に販売・納品する仕事です。
重たい輸液や医療材料を運びながら、合間をぬって営業活動。汗まみれ、スーツはぐしゃぐしゃ。医療業界の中では正直、地位が低い存在です。
医薬品卸に就職したいと思っている若い方は、この記事を読んでからもう一度考えてみてください。
医薬品卸の営業職の辛い部分

ノルマに追われるのに営業活動の時間がない
会社からは新薬の軒数・売上・利益を求められますが、現実は得意先からの急配や日々の納品に追われて、思うように営業活動ができないMSが大勢います。
メーカーから新薬が発売されるたびにノルマを課せられ、軒数を稼ぐために奔走します。処方が出る見込みのない薬局にまで「新薬を1つ置かせてもらえませんか?」と毎回頭を下げてお願いするのが日常です。
見積もり作業が地獄

担当先によっては1,000品目近い見積もりをJANコードなしで渡されることがあります。JANコードがなければ社内システムに突合できず、薬価から仕切り価格まで1つ1つ自分で調べる羽目になります。
その作業のために土曜出社や朝7時前に出社するMSが多いのも事実です。薬価改正後の4月〜6月は見積もり作業で特に辛い時期です。
せっかく苦労して見積もりを作っても、他社に負ければ納入できる保証はありません。ちなみにMRには見積もり作業は一切ありません。
営業なのに配達・力仕事が多い

私は中小病院をいくつか担当していたため、毎日ポタコール(輸液)を台車で運んでいました。人生で初めてぎっくり腰を経験したのは、ポタコールを運んでいる最中でした。
配送スタッフが充実している営業所なら良いですが、自配(自分で配送)が多い営業所ではスーツがボロボロになります。各得意先に車で回って納品するので、乗り降りの繰り返しです。
MRには医薬品の納品作業は一切ありません。力仕事が嫌な方はMRの方が向いています。
何年やってもスキルが身につかない

10年以上MSをやっていて最も辛いのは「スキル」が身につかないことです。
入社して2〜3年もあれば仕事の中身は把握できます。5年続けても10年続けても、得られるスキルは「ルート営業の経験」だけ。転職時に評価されるのも営業経験(ルート営業)のみです。
浅い医薬品の知識は他業界では通用しません。MR資格も持っていないので、製薬メーカーへの転職のハードルも高いです。
ただし、20代後半くらいまでであれば未経験からMRへの道も転職エージェント経由で可能です。
MR未経験からでもMRになる道は存在します。
MR未経験でもMRへ転職したいならマイナビエージェントかdodaエージェント!
医薬品卸の営業をやっていて良かったこと
辛い面ばかり書きましたが、良い面もあります。
自分が提案した医薬品やシステムを気に入ってもらえて採用になったときには、やりがいを感じます。
ルート営業なので、決まった得意先だけを訪問すればよく、慣れれば楽になります。飛び込み営業のストレスはありません。
担当メーカーのプロモーターとして、営業所内のMSに目標達成の指示を出すなど、マネジメント的な経験ができる場面もあります。
医薬品卸の営業が辛くて辞める人の実態
毎日のルーチンワーク、急配対応の辛さ、MRと比べてハードなのに給料が安い…こうした不満から退職する若手MSは大勢います。
MSとMRの年収比較(2026年目安)
・MS(医薬品卸営業):350万〜600万円程度
・MR(製薬メーカー営業):平均660万〜750万円(住宅手当・日当を含めると+100万〜200万)
・大手メーカーMRなら30代で年収1,000万円以上も珍しくない
医薬品卸歴10年以上の私の年収は500万円ちょっとです。(借上げ車両手当含む)
詳しくは、医薬品卸の年収を暴露!アラフォーのペーペーのでよければ。
退職する若手MSの転職先は医療機器メーカーや製薬メーカーMRが多いです。ただ、2026年現在はMR数の削減が続いており、MRへの転職は以前より狭き門になっています。
個人的には、MRや医療機器だけでなく、医療業界の外にも目を向けてみることをおすすめします。MSの「ルート営業力」「顧客との関係構築力」「マルチタスク能力」は、他業界でも評価されるポイントです。
アラフォーの私が転職エージェントを利用して世界が広がった話を紹介します。
医薬品卸が転職エージェントを使ってみると世界が広がった
MSを辞めたくても辞められない人が多い現実
医薬品卸を辞めたいけど、大したスキルもないから辞めるのが怖い…というMSは本当に多いです。「20代だったらとっくに辞めている」というMSも大勢います。
医薬品卸に入社したいと思っている若い方には、正直おすすめしません。やりがいを持ってMSを続けている人も中にはいますが、少数派です。
まとめ:MSのキャリアをどう考えるか
医薬品卸MS 仕事のリアル
・ノルマはあるが、急配・納品に追われて営業する時間がない
・見積もり作業は地獄。薬価改正後の4〜6月が最も辛い
・営業職なのに力仕事が多く、スーツがボロボロになる
・何年やっても転職市場で評価されるスキルが身につきにくい
・年収はMRと比べると大きく見劣りする
MSが今からやるべきこと
・20代ならMRや他業界への転職を真剣に検討する
・30代以降でも転職エージェントと面談して市場価値を把握する
・MS経験で得た「ルート営業力」「医療業界の知識」「マルチタスク力」を言語化する
・辞める辞めないに関わらず、選択肢を持っておくことが精神的な余裕につながる
動くなら1日でも若い今がチャンスです。まずは転職エージェントとの面談から始めてみてください。
おすすめ転職エージェント
・doda — 求人数国内最大級、MS経験者の転職実績も豊富
・マイナビエージェント — 20〜30代に強い、未経験MR求人あり
・リクルートエージェント — 業界最大手、非公開求人が充実




コメント