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医薬品卸MSが得意先の薬を転売して1,000万円…不正がバレた経緯と末路【実話】

医薬品卸

医薬品卸歴10年以上の私が実際に経験した、身近な先輩による医薬品転売事件についてお話しします。

身近な先輩MSが、得意先の調剤薬局から医薬品を無断で抜き取り、転売業者に売りさばいていました。

よくもまあ7〜8年間もバレなかったなと思います。総額1,000万円以上。この記事は、不正行為がどのように発覚し、その後どうなったかのリアルな記録です。

医薬品の転売行為がバレた原因

国税局 調査イメージ

きっかけは国税局でした。何らかの理由で現金問屋(医薬品の買取業者)に国税局が入り、個人口座への入金記録が発覚したのです。

そこから芋づる式に、私たちの営業所にも国税局が来ました。当時は「うちの所長が何かやらかしたのでは?」と皆思っていましたが、現実は違いました。

犯人は、一番真面目で、女性パートに重い荷物を持たせると注意してくるようなタイプの40代の係長でした。

国税局の調査により、7〜8年間にわたる1,000万円以上の転売が明るみに出ました。

被害者である調剤薬局の社長は、1,000万円以上の医薬品が抜き取られていたことに気づいていませんでした。医薬品の管理が、ずさんにも程があるとしか言えません。

1,000万円以上の医薬品が抜き取られても気づかなかった理由

・薬局が儲かっていた(整形・小児科・耳鼻科・内科の処方箋が集まる立地)
・MSを信用しすぎて検品・発注・伝票サインまでやらせていた
・シングル先(取引卸1社のみ)で他社の目がなかった
・社長の在庫管理がズボラだった

転売行為が行われたのは2011年頃まで。国税局に見つかったのは2016年。不正をやめてから5年経っても、お金の流れは追跡されるのです。

一度でも不正をしたら、必ずバレる。この事件で肝に銘じました。

不正行為に走りやすいMSの特徴

ストレスを抱える男性

人間観察が好きな私の実感として、伝票整理や経費の管理がズボラな人よりも、几帳面で真面目、正義感がほどほどにあり、ギャンブル好きなタイプの方が不正に手を染めやすい印象があります。

真面目でストレスを溜めやすく、ギャンブルで発散するタイプは要注意です。

これは私の主観だけではありません。不正研究の専門機関であるACFE(公認不正検査士協会)も、20年以上にわたる内部不正の分析から同様の傾向を指摘しています。

不正の兆候(ACFE分析より)
・雇用主に重宝されている(出勤が早い、残業もいとわない、休暇を取ろうとしないなど)
・単独で業務をこなしている
・定期的な調査に抵抗感を示す
・自分の仕事場に人を近付けたがらない
・事業主に業務記録を見せたがらない
・次から次へと仕事を引き受けようとする

参考:ITmedia エンタープライズ

この内容をよく読むと、まさに私の先輩そのものでした。

さらに、不正研究の第一人者である米ブリガムヤング大学のスティーブ・アルブレヒト教授らの研究では、不正実行者に共通する9つの特徴が挙げられています。

不正実行者の9つの特徴
(1) 自分の資力を超えた生活をしている
(2) 私利私欲を抑えきれない
(3) 個人的に多額の債務を負っている
(4) 顧客と密接なつながりを持っている
(5) 給料が自分の責任に見合っていないと感じている
(6) 自分はやり手であるという態度をとる
(7) 組織体制を出し抜こうという意欲を持っている
(8) 過度のギャンブル癖を持つ
(9) 家族または同僚からの過度なプレッシャーを感じている

参考:ファイナンシャルフィールド

特に(4)(5)(8)は、医薬品卸MSに当てはまりやすい項目です。得意先との距離が近く、給料に不満があり、ストレスをギャンブルで発散する…この組み合わせは危険です。

実際、2019年には医薬品卸大手「ケーエスケー」の元社員が病院の保管庫から医薬品を盗み、1億円超をギャンブルや飲食に使っていた事件も発覚しています。一度不正で大金を手にすると癖になり、抜け出せなくなるのです。

MSはどうやって転売業者に医薬品を売ったのか

医薬品転売 イメージ

1,000万円以上もの医薬品をどうやって転売業者に売ったのか。おそらくの推測ですが、薬局の従業員になりすまし、印鑑を無断で使い、現金問屋に買取を依頼していたのではないかと思われます。

医薬品買取業者の見積りフォーム

合法的に医薬品の買取を行っている業者のサイトを確認すると、見積り依頼の段階では薬局名の記載が必須でない場合もあります。薬局が完全に信頼しきっているMSなら、従業員に成りすますのは難しくなかったのでしょう。

不正行為を行ったMSの末路

転職する男性 イメージ

1,000万円以上も医薬品を無断で転売したにも関わらず、この先輩は警察に逮捕されていません。

会社はクビになりましたが、驚くことに普通に転職して普通に働いています。

被害者である調剤薬局の社長が「本人が返済するなら訴えない」という意向を示したのです。卸が薬局社長へ返済し、転売を行った先輩が毎月卸に返済するという流れになりました。

その薬局は現在、大手調剤チェーンに売却されていますが、社長の意向が通り今もシングルパートナー先(取引卸1社)のままです。

この事件から学ぶべきこと

薬局経営者・卸管理者への教訓
・MSに検品・発注・伝票サインまで任せきりにしない
・在庫管理を定期的に行い、不審な動きがないかチェックする
・シングル先(取引卸1社)でも、第三者の目が入る仕組みを作る
・信頼と管理は別。信頼している相手だからこそ管理体制が必要

MS・卸社員への教訓
・不正は必ずバレる。やめてから5年経っても国税局は追ってくる
・「真面目な人ほど不正をしない」は幻想。研究でも真逆の結果が出ている
・ギャンブル依存と業務ストレスの組み合わせは最も危険
・給料への不満があるなら、不正ではなく転職で解決すべき

2026年現在、医薬品の流通管理はGDP(Good Distribution Practice)の浸透やシリアルナンバー管理の導入が進み、以前より不正は発覚しやすくなっています。「バレないだろう」は通用しない時代です。

給料や待遇に不満があるなら、不正ではなく転職という正しい道で解決しましょう。

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